2020年3月号:あらすじで読む名作の本棚

2020年3月号のあらすじで読む名作の本棚は

『わすれられないおくりもの』

1961年、英国・ブラックプール生まれの絵本作家・スーザン・バーレイの初めての作品です。


年老いて自らの死期を悟ったアナグマは、「死が近づいた」こと自体にくよくよしていないものの、残していく仲間たちがなんとも気掛かりでした。

ある日とうとうアナグマが亡くなり、仲間たちに深い悲しみが訪れました。

来る日も来る日も仲間たちは涙で暮れる毎日。

しかし、冬が過ぎて春になると、仲間たちが外に出て集まるようになり、アナグマが教えてくれたハサミの使い方、アナグマが教えてくれたスケートの滑り方、アナグマが教えてくれた料理…みんなそれぞれが、アナグマとの思い出を語り合い、アナグマの知恵や工夫がいかに、亡くなった今でも自分たちを支えてくれているかを感じ、みんな心が穏やかに元気になり、アナグマの死を少しずつ、それぞれのスピードで受け入れていきます。


自分の死が迫ったとき、自らのことよりも残していく者たちの心を慮るアナグマは、それまでどれほど仲間たちに心を配り、みんなを温かく見守ってきたのかがよく分かりますね。

一度お読みいただくと、深く心に残る作品だと思います。

ぜひお手に取ってみてください。



New月刊武蔵野くろすとーく

タウン誌「月刊武蔵野くろすとーく」は、東京都調布市、三鷹市、府中市、狛江市、稲城市など多摩地域に根ざした文化情報雑誌として35年、地元の皆様に親しまれています。 毎月10,000部を発行。

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