2020年5月号のあらすじで読む名作の本棚は
『星の王子さま』
1943年に出版されたサン・テグジュペリ(フランスの作家)の代表作であり、200以上の国と地域で出版され、世界で1億5千万冊も売れている大ベストセラーです。
飛行機がサハラ砂漠に不時着し、パイロットの「ぼく」は一人の王子と出会う。
王子はいろんな惑星を旅しており、そこで出会った人々の話をしてくれる。
自分の体面だけ気にする王様―。
大物気取りのうぬぼれ男―。
酒びたりの男―。
あこがれと呼ぶには程遠い大人たちばかりだった。
地球に来た王子はキツネと出会い、キツネに遊ぼうと誘うが、キツネは「なついてない相手とは遊ばない」と言う。
“なつく”とはどういうことか。
キツネが王子になつけば、たとえ王子がいなくとも、王子の髪色と同じ金色の麦畑を見ただけで王子を感じることができる、相手になつく(絆を結ぶ)とはそういうことだと教えてくれる。
キツネと話すうち、王子は自分の小惑星に置いてきたバラのことを思い出す。
王子の小惑星に、ある日どこかの惑星から飛んできた種が芽を出して綺麗な花を咲かせた。
ひとりぼっちで暮らしていた王子にとってこのバラは、大切な存在で大事に大事に育てていたが、尽くしても尽くしても気まぐれなバラの態度にある日王子も我慢できなくなり、バラを置いて小惑星を去ったのだった。
不思議なことに小惑星を去っていく王子にバラは、それまでの態度とは打って変わり、王子を責めたりしなかった。
地球に降り立った王子は、たくさんのバラが咲いているのを発見した。
「自分の花はこの世界でたったひとつの素晴らしい花」と思い込んでいた王子は、ほかにもバラがたくさんあることにショックを受けて泣き伏す。
しかし、キツネの話を聞き、自分がなついたバラはあのバラひとつなのだと気づき、バラが自分にとってどれほど大切で特別な存在だったかを、バラを残して去ってしまったことを改めて思い直すのだった。
「大切なことは目に見えない。心で見なくてはいけない」
自らも飛行士だったサン・テグジュペリが戦時下を生きる中で感じたことはどんなことだったのか。
世界で読み継がれてきた名作は、現代を生きる我々の心にも、ささやかな毎日で気づくべき大切なことをそっとそよ風のように教えてくれる気がしますね。
ぜひ改めてお手に取ってください。
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